はじめに
TEAC A-H01-SとLS-H265-Bを使い始めて約1年となるので、そろそろレビューを書いてみようと思った。 参考購入価格はA-H01-Sが32,209円とLS-H265-Bが17,500円。 現在ではA-H01-Sが2万円台前半、LS-H265-Bが1万円台半ばまでそれぞれ値下がりしているようだ。お買い得!
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購入の動機
数千円レベルのオーディオ機器から脱却し、本格的なPCオーディオの世界に足を踏み入れたいと思ったのが購入の動機だ。
私はネット上の評判の信者である。みんなが言うことは案外正しい。 なのでこれまでは、手軽に買える数千円程度の価格で、ネット上の評価が良いオーディオ機器を使ってきた。 具体的にはBEHRINGER U-CONTROL UCA202というUSB-DACと、LOGICOOL Z120BWというスピーカーの組み合わせである。 ちなみにヘッドホンはaudio-technicaのATH-AD500を愛用している。
これら低価格なオーディオ機器も値段なりに良いものではある。 しかし、LOGICOOL Z120BWは私が聴いてもわかるペラペラな音で、これをどうにかしたいと思っていた。 もう少しマシなアクティブスピーカーを買うという選択肢もあったが、前々からPCオーディオには興味を持っていたため、思い切ってプリメインアンプ + パッシブスピーカーという構成に挑戦してみようと考えたわけだ。
このレビューについて
A-H01-Sは本格的なPCオーディオの入門機的な位置づけである。 そこでこのレビューは、私と同じくPCオーディオに興味を持っていて、はじめてプリメインアンプを買う人を想定して書くことにする。 数万円もするオーディオ機器なんて1つも買ったことが無い人が対象である。
そもそも私もオーディオ初心者なので、あまり踏み込んだことは書けない。 また様々なオーディオ機器を試した経験もないため、このレビューには玄人の役に立つことは何一つ書いていない。 オーディオ玄人の方は即座にこのページを閉じて欲しい。
以下では、まず製品の位置づけを整理した上で、実際に使った感想を書いてゆく。
製品の位置づけ
A-H01-SはUSB-DAC + プリメインアンプという位置づけの製品である。 おまけとしてステレオミニジャックも付いているので、ヘッドホンを接続して音楽を楽しむこともできる。
パッシブスピーカーを使った最小のPCオーディオは以下の構成である。 本機はこのうちUSB接続可能なDACとプリメインアンプを兼ねた製品となる。 本機にパッシブスピーカーを接続すれば、音を鳴らすことができるというわけだ。
PC → DAC → プリメインアンプ → パッシブスピーカー
スペック上、A-H01-Sの出力はステレオ40W、インピーダンスは4Ω〜8Ωである。 はじめてオーディオ機器を購入する人にはちんぷんかんぷだと思うので少し補足する。
まず出力は最大でどの程度大きな音を出せるかという値である。 40Wというのは普通の家で最大音量を出したら確実に隣人に刺されるレベルの大音量だ。 アクティブスピーカーは出力がステレオ1.5W程度のものもあるので、その数十倍の電気的なパワーがあることになる。
インピーダンスはアンプとスピーカーの相性を示す値だ。 スピーカーはそれぞれ固有の電気的な抵抗(インピーダンス)を持っているが、このアンプがどの範囲のスピーカーを良好に駆動できるかを表している。 本機の場合は4Ωから8Ωの間とインピーダンスが明示されているスピーカーに接続して音を鳴らすことができる。 この範囲は極めて標準的で、初心者が手を出す大抵のスピーカーをカバーしていると思って良い。
A-H01-Sのレビュー
以下、音質、大きさと外観、操作性、入出力、安定性について書いていく。
音質
私は同じくTEAC製のLS-H265-Bに接続して音楽を楽しんでいる。 TEACによるとこのスピーカーはA-H01-Sを含むReferenceシリーズに最適だとのことである。 LS-H265-Bはスペック上 最大許容出力55W インピーダンス8Ωのステレオスピーカーユニットとなっている。 大きさは174(W) + 268(H) + 246(D)で、本格的なスピーカーとしては普通のサイズだが、小型のアクティブスピーカーに慣れているとかなり大きく感じる。 実売価格はパッシブスピーカーとしては最安クラスといえる。
さて、この組み合わせの音質は、オーディオ初心者の私には申し分ないものであり、不満はない。 低音や高音が特別に強調されているという感じはせず、フラットな音質と言うべきだろうか。 音には十分な厚みがあるが、強調された低音を好む人にはやや迫力に欠けるように感じるかも知れない。
ちなみにステレオミニジャックに愛用のATH-AD500を接続した印象では、BEHRINGER U-CONTROL UCA202との違いが正直良くわからなかった。 本機のステレオミニジャックの出力がさほど良くないのか、はたまたUCA202が優秀なのか、ATH-AD500の性能が違いが出るほど良くないのか、私の耳が馬鹿なのかいずれかである。
私は良い耳を持っていないので、音質についてこれ以上の感想は書かないことにする。
大きさと外観
40Wの出力があるプリメインアンプでありながら、コンパクトである。 スペック上の大きさは215(W) + 61(H) + 258(D)mmとなっている。 液晶ディスプレイ下のデッドスペースにも設置でき、私は実際そのように使っている。 デザインは高級感はないが邪魔にならない印象である。 A-H01-Sのカラーはシルバーとなっているが、Macとも良く合う配色であると思う。
操作性
電源、ボリューム、入力元を切り替えるボタンがあるだけのシンプルな構成だ。 ボリュームはわずかに動かすだけで音量がかなり大きく変わり、微調整が効かないので使いにくいと思う。 入力元はボタンを押す度に次に切り替わるもので、狙った入力にするには何回か押す必要がある。 頻繁に切り替えるには不便だろう。
本機にはリモコンが付属しているが、私は机の上に置いてすぐに手が届くため、普段は使用していない。 注意点として、リモコンによる電源の入り切りができないこと、リモコンからは音量の微調整ができないことが、があげられる。
入出力
本機の入力は以下のとおり。入力5系統、出力2系統である。 入力はいろいろでプリメインアンプとしても使用可能。 出力はスピーカーまたはヘッドホン。 PCオーディオ入門機としてはこれで十分だと思う。
- 入力
- アナログ音声 RCA端子
- デジタル音声
- USB端子
- RCA端子(2系統)
- 光デジタル端子
- 出力
- スピーカー出力 バナナプラグ / サブウーハー出力 RCA端子
- ヘッドホン出力 ステレオミニジャック
安定性
私はLinuxで使用しているため、WindowsやMacでの動作は良く把握していない。 しかし価格.comのレビューを読む限り、WindowsでもMacでもUSB接続時の安定性は評判が悪いようである。 Linuxでもまれに認識しなくなり、電源の入れなおしで復旧することがある。 本機のUSB接続には何か設計上の問題があるのだろうか。 もしUSB接続が不満な場合は、光デジタル入力を使えば良いと思うので、個人的にはさほど問題視していない。
おわりに
以上、私がA-H01-SとLS-H265-Bを使用した感想をざっと述べた。 これらの製品自体にはとても満足しているが、私の耳ではトータルで5万円かける価値があったのかは微妙なところというのが、正直な感想である。オーディオはこだわりだすと金がかかる。 私の場合、今の環境を構築する前に、少し高めなアクティブスピーカーや、ヘッドフォンアンプを挟んだ方が、金と音質のトレードオフの感覚が身について良かったかも知れない。 今回取り上げた2製品は、1年前よりかなり値下がりしているようなので、今買えばまた印象が違うだろう。