非喫煙者には関係ない話題である。
Ploom本体とたばこポッド
昨年末、JTから新しいスタイルのたばこ「Ploom」が発売された。ティザー感が漂うWebサイトとプレスリリースで、注目された喫煙者の方も多いだろう。またガジェット好きの心もくすぐる。
このPloomはオンライン販売限定にも関わらず、ECサイトのシステム障害が原因で発売延期になるという何とも情けないことになっていた。私の手元にも年末に注文したものがようやく届いたので、写真を交えつつ、さっそく感想をまとめてみたい。
結論から書くと60点で及第点だ。デザインとコンセプトは悪くないが、肝心の喫煙の満足感がたばこに及ばず、別物だ。またすべてのフレーバーに独特の甘みがあり、苦手な人は全く吸えないだろう。完全なたばこの代替には成り得ない。
Ploomのパッケージ、おしゃれ
まずPloomの位置づけだが、JTの公式サイトから引用すると”電気加熱型たばこ用具”である。決して、海外で販売されている無煙たばこや、ニコチンが入っていない電子たばこではない。本製品はたばこの葉が入ったポットを、電気で加熱してその煙を吸う正真正銘のたばこだ。
たばこの葉を使用しているということで、従来のたばこの吸い心地を期待したり、フィルタがないことから、葉巻やパイプの吸い心地を期待したりするかも知れない。しかし、私の感想ではPloomの吸い心地は両者とは全くの別物である。
USB接続の充電器、本体、説明書
では、どのような吸い心地なのかというと、まずシガレットの対極と言えるかなり湿っぽさを感じる空気感。さらに、その煙はたばこの香り打ち消す強烈なフレーバーを伴っている。見も蓋もない言い方だが、たばこ風の香水を気化させたような独特なものだ。
Ploomの、特にポットを加熱した直後の煙を肺に入れると、確実にむせる。そのため、基本的には口から吸ってそのまま吐き出す吸い方になるだろう。これは葉巻・パイプの感覚と似ているが、その強烈さとは裏腹にニコチンを摂取している満足感には乏しく、喫煙者は満足できないだろう。
付属のスリーブとマウスピース2個
煙についても書いておこうと思う。Ploomは加熱して置いておくだけなら煙は一切出ない。吸うとわずかな煙が出るが、量は体感で一般的なたばこの1/10にも満たない。非喫煙者を悩ませる副流煙の面では、無視できる程度と言える。この点では”煙を出さない”というコンセプトがある程度実現されている。
本製品はUSB接続で充電して使用するものだ。これはPCやシガーソケットで充電できるようにしておいて、たばこの匂いをつけたくない室内や車内で使うことを意図してのことだろう。なお説明書には90分の充電で、たばこポット4個分が使用できると書いてある。充電時間が長く、使用時間が短いと感じる。
Ploomとmultipack for ploom
たばこポットは吸っていると徐々に味と香りがしなくなってくる。1つのたばこポットでの喫煙時間は、公式サイトによると10分から15分とされている。私の吸い方だと、余程ゆっくり途切れ途切れに吸い込んで20分は持たないという感じだった。サイトの記載は概ね正しい。
価格は本体が3,500円。12個入りのたばこポットが各460円する。1個あたりの喫煙時間を考えれば、普通のたばことの比較で割安とは言えず、むしろ割高と言える。たばこ葉の量も少ないのだから、もっと懐にやさしい価格設定にしてもらいたいというのが本音だ。
Ploomで喫煙中の様子、デザインは悪くない
最後にマルチパックで6種類すべてのフレーバーを吸ったので、それぞれの感想を書いて締めたい。基本的には最初にマルチパックを買って、好みのものを買い足す吸い方が良いと思う。
- Lugano
- 一言で言って、ブラックコーヒーの味がする。最初に吸ったが悪くなかった。
- Orchard
- Luganoから苦味をとり、甘みを増した感じ。バランスが取れている。
- Gold
- 恐らく6つの中で一番甘い。悪く言うと甘ったるい。
- Cooler
- 上記3つとは異なり、清涼感のある味わい。ただしメンソールではない。
- Mevius
- 特徴のない味。良く言えば極端な味付けのされていないフレーバー。
- Pianissimo
- そのまんまピアニッシモ風。個人的には苦手。
何だかあまり褒めない書き方になってしまったが、本体とマルチパックでおよそたばこ10箱分の値段だと考えれば、たばこ好きとしては話のネタに買ってみても良いのではないだろうか。私はたばこポットを買い足してもう少しPloomを楽しんでみるつもりだ。